教室からのメッセージ

 障害者歯科学講座(障害者歯科治療部)では、心身の病気や障害のある方(スペシャルニーズのある方)に歯科診療・歯科保健を提供するための研究を行っています。

スタッフ

職名氏名E-mail(@以下はosaka-u.ac.jp)
准教授秋山茂久akiyama.shigehisa.dent@
講師村上旬平murakami.jumpei.dent@

研究の概要

1.障害のある人の歯科的所見の解明

歯科所見の調査
多様な障害のある方々の歯科的特徴を捉え,その原因を探るため,学会および誌上で症例の分析結果の発表を行なっています.

服用薬剤調査
障害のある人では多種類の薬剤を服用されていることがあります.これらの薬剤が口腔にどうのような影響を及ぼすのか調査を行なっています.

2.障害のある人との歯科医療におけるコミュニケーション・情報保障

発達障害児・者の歯科受診および歯科保健の支援に関する研究
自閉症スペクトラムをはじめ,さまざまな方々への視覚的な歯科治療受診支援のため,ツールの開発を行っています.

視覚障害者への情報保障
点字プリンタや立体コピー機を用いた点字・触図による情報提供方法の開発,および歯科教育および歯科衛生指導用触読模型の開発を行っています.

聴覚障害者への情報およびコミュニケーション保障
日本手話や筆談,音声認識技術を用いた情報保障に関する研究を行っています.

3.障害のある人の口腔疾患のメカニズム解明

ダウン症候群の歯周疾患発症メカニズムの研究および治療法の開発
ダウン症候群では,若年から歯周病を発症し,急速に進行することがあります.歯肉細胞と歯周病原細菌などを用いて,そのメカニズムと治療・予防法の開発を行っています.

薬物性歯肉肥大に関する研究
抗てんかん薬であるフェニトイン,バルプロ酸ナトリウムなどを服用されている方々は,副作用による歯肉肥大を伴いやすくなります.また,シクロスポリンやカルシウム拮抗薬による歯肉肥大も報告されています.これら薬物誘発性歯肉肥大の発生機構の解明と,臨床面では新たな治療法の開発に向けた研究を行っています.

咬合とトゥレット症候群の症状に関する研究
トゥレット症候群にみられる各種症状(運動チック,音声チック,強迫症状など)に対する,歯科スプリントによる影響について調査をしています.

4.障害のある人の口腔疾患の治療・予防法

化学的プラークコントロール方法の開発
口腔衛生状態を良好に保持することが困難な方々にとって,新たなプラークコントロール法の開発が待たれています.化学的にプラークの形成・成熟をコントロールすることを目的として酸化チタン歯ブラシなどによる清掃効率向上の研究を行っています。

レーザーを用いた歯への接着力強化法の開発
より長持ちする歯の修復を目指し,YAGレーザーを用いた接着力強化に関する研究を行っています.

5.障害のある人の歯科受診支援

行動調整法の開発
器具による生理的,心理的な歯科受診支援方法の開発を行っています.

環境設定に関する研究
安心して診療を受けられる最適な環境設定に関する研究を行っています.

歯科受診に関する各種調査
よりよい歯科受診環境を設定するため,歯科受診に関するデータ解析を行っています.

6.障害のある人と家族の支援

歯科医療現場における障害のある子どもとその親への包括的支援プログラムの開発
障害者歯科治療に親へのメンタルケアを組み合わせる学際的なプログラムの開発を行っています.

7.障害者歯科学教育法の開発

歯学部学生の障害者歯科学実習法の開発
歯学部学生が障害者歯科についての学習を深められるような教育法の開発を行っています.