
大阪大学歯学部附属病院で経験を積んだ「入れ歯治療」を専門とする歯科医院に勤務され、現在は子育てとのワークライフバランスを取りながらお仕事をされている樋上香織さん(2007年卒業)にお話をお伺いしました。
阪大歯学部を受験された経緯を教えてください。
父が歯科医師で自宅の1階が診療所だったので、子供の頃から歯科医院によく出入りしてました。そのこともあって、あまり何も考えず同じ歯科医師を目指して阪大歯学部を受験しました。
卒業後、勤務医になるまでに、どのようなキャリアを歩まれましたか。
卒後は、研修医として大阪大学歯学部附属病院の咀嚼補綴科に入局しました。研修中に配属されたグループは高齢者を得意としているグループでした。研修後はそのまま大学院に入学しました。大学院では、「7年間の縦断的研究による高齢者の口腔機能の変化とQOLとの関係」について報告しました。60歳以上の高齢者において、咬合力(咬む力)や咀嚼能力(噛み砕く能力)が維持もしくは向上していると、7年後も良好なQOLを維持しやすいということを報告しました。臨床ならびに研究、そしてバイト先も往診を主に行なうことが多かったので、高齢者に関わることが多く、私自身も高齢者、特に難しい入れ歯作りを自信を持ってできるようになっていました。
勤務医になりよかったこと、大変なことなど、勤務医の働き方やライフスタイル等を教えてください。
勤務医になってよかったことは、治療に専念できることです。特に、現在の勤務先は、入れ歯の専門の歯科医院なので、これまで大学病院で経験を積んできた入れ歯の治療をこだわって行うことができます。
大学病院勤務と違うところは、症例に関して相談するドクターが少ないことです。大学病院の時は、それぞれの専門家がいますので、根の治療や歯を抜く処置などの相談ができましたが、勤務医になってからはなかなかできません。勉強会に参加したり、セミナーを聴きに行ったり、自分で動いて自己研鑽を積まなければなりません。
私は、現在子育て中ですので、週に3日の勤務で、保育園のお迎えも行けるよう少し時短で働かせてもらっています。医院と相談して、勤務日を増やしたり減らしたりしてもらっています。


母校のことをどのように考えていらっしゃいますか。
私は阪大歯学部に入学してとてもよかったと思います。
歯医者という狭い世界ですが、トップレベルの教育を受けそして研究ができたことは今後の歯科医師人生において自分の誇りとなっています。
歯学部だけの部活もいくつかあるので、先輩後輩など縦の繋がりもできて非常によかったです。
阪大歯学部を目指す高校生・受験生のみなさんへエールをお願いいたします。
歯学部に入学したら、「みんな一緒の歯医者さん」というわけでなく、専門性をもった歯科医院も増えてきています。歯科にも様々な科があるので、きっと自分にあったところで専門性を磨くもよし、全ての治療を一人でできるようになるのもよし、はたまた大学で研究をしながら教育するもよし。いろんな生き方があります。
ぜひ、阪大歯学部を目指してみてはいかがでしょうか?きっと新たな視野も広がるでしょう!