~薬用マウスウォッシュを用いたうがいによる糖尿病の病態改善~

 口腔全身連関学共同研究講座の又吉紗綾特任講師(常勤)、伊藤直人招へい教員、仲野和彦教授らの研究グループは、2型糖尿病患者がクロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いてうがいを行うことで、口腔内に存在する悪性度の高い歯周病菌種が減少するとともに、血糖コントロール状態が改善することを明らかにしました。
 糖尿病の主要な合併症の1つに歯周病があり、相互に悪影響を及ぼすことが知られています。歯周病は歯周病菌によって引き起こされる疾患であり、これまでにクロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いたうがいを行うことで歯周病菌を減少させることが報告されています。一方で、2型糖尿病患者がクロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いてうがいを行うことによって、歯周病及び糖尿病の病状にどのような影響を及ぼすかは明らかにされていませんでした。
 今回、研究グループは、2型糖尿病患者がクロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いてうがいを行うことで、歯周病菌の中でも悪性度の高い菌種が減少するとともに、血糖コントロールの状態も改善することを明らかにしました。これにより、2型糖尿病患者がクロルヘキシジン配合マウスウォッシュを用いたうがいを行うことで、歯周病の改善だけでなく、「歯周病によって引き起こされる血糖値上昇の改善」にもつながることが期待されます。
 本研究成果は、2024年2月2日(金)(日本時間)に英国科学誌「Scientific Reports」(オンライン)に掲載されました。

タイトル:“Effects of mouthwash on periodontal pathogens and glycemic control in patients with type 2 diabetes mellitus”
DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-024-53213-x