~大阪府の後期高齢者186,893人を追跡したビッグデータ解析で判明~

豆野智昭助教池邉一典教授、キャンパスライフ健康支援・相談センターの山本陵平教授らの研究グループは、大阪府の後期高齢者186,893人において、奥歯の噛み合わせが悪化するほどに死亡の頻度が高くなるとともに、状態の悪い入れ歯の使用者や入れ歯を使用していない者は、奥歯の噛み合わせが良い人と比べて、同じ期間内に死亡する確率が高い(最大で1.8倍) ことを明らかにしました。

高齢化が進むにしたがい、歯を喪失した高齢者の数は増加しています。入れ歯は、歯を失うことにより低下した食事の機能を補助し、健康維持に役立つと考えられてきました。しかし、入れ歯の状態が高齢者の死亡リスクにどの程度影響するのか、その関連性を大規模な追跡研究によって詳細に検討したものはありませんでした。

今回、研究グループは、大阪府後期高齢者医療広域連合、大阪府歯科医師会と協力し、大阪府の後期高齢者歯科健康診査の受診者186,893人、平均観察期間3.2年のデータを分析することで、入れ歯の状態が死亡リスクに与える影響を解明しました。これにより、入れ歯の状態は死亡リスクに関連しており、特に、奥歯の噛み合わせが少ないグループにおいて、状態の良い入れ歯を使用している者の死亡リスクは、他のグループよりも低いことが明らかとなりました。自分の歯を保つことに加えて、歯を失った場合でも、適切に入れ歯を使用することが、高齢者の健康において重要な役割を果たすことを示しています。

本研究成果は、国際科学誌「Journal of Prosthetic Dentistry」に、2024年11月29日に公開されました。
タイトル:“Removable denture use, fit, and all-cause mortality in older adults with reduced occlusal support: The OHSAKA study”
著者名:Tomoaki Mameno, Naoko Otsuki, Satoko Takeuchi, Ryohei Yamamoto and Kazunori Ikebe
DOI:https://doi.org/10.1016/j.prosdent.2024.10.037