
ー歯学部を志望したきっかけを教えてください。
私が歯学部を志望したきっかけは、小学生の頃の職場体験で、伯父が歯科医師として働く姿を目にしたことです。幼い頃から医療系の分野に漠然とした憧れはありましたが、実際に患者さんから感謝されている伯父の姿を見て、私も「人の役に立てる歯科医師を目指したい」と思うようになりました。
進路を選ぶ上で医学部や薬学部も考えましたが、手先が器用で細かい作業が好きなこともあり、歯科医師という職業が自分に合っていると感じ、歯学部を志望することに決めました。
ー歯学部で実際に学んでみて、「難しいな」と感じたことや「楽しい!」と思ったことは何ですか?特に好きな授業や実習はどんなものですか?
歯学部では歯に関することだけでなく、全身の解剖や疾患、薬についても学ぶため、覚えることが多く、最初は難しいと感じることもありました。それでも、これまで知らなかった歯について知識が増えていくにつれて、教科書に載っていた異常な形態が自分の歯にもあることに気づいたり、友人の歯の本数が生まれつき少ないことに気づいたりすることができ、歯学部に入らなければ気づかなかったことがたくさんありました。こうした気づきを通して、口の中について学ぶ楽しさを実感しました。特に印象に残っている授業は、4年生の時に行った被せ物や入れ歯を作る実習です。自分で1から作ることは難しかったですが、でき上がった時の達成感はとても大きく、今でも思い出に残っています。
ー歯学部生としての1日のスケジュールを簡単に教えてください。
私は現在6年生で、歯学部附属病院で病院実習を行っています。毎日朝8時半までに病院へ行き、16時頃まで診療の見学などを行っています。その後はレポートを書いたり、先生方とディスカッションをしたりして、17時から18時の間に帰宅することが多いです。実習内容は、診療の見学や補助、技工など多岐にわたり、基本的なスケジュールは自分で決めます。実際に患者さんの診療をすることもあるので、空いた時間には友達と相互実習をして技術を高め合っています。
ー大学生活で他の学部との交流やクラブ・サークル活動など、学業以外の趣味などがあれば教えてください。
歯学部準硬式野球部でマネージャーをしていました。歯学部の部活なので学部間の交流は多くなかったですが、練習試合や大会を通して他の大学の選手やマネージャーと仲良くなる機会がたくさんありました。野球部は学年を超えて仲が良く、先輩方から色々な話を聞けるのはとてもいい環境でした。学年の離れた後輩とも仲良くなることができ、大会や遠征、ディズニー、スノボ合宿など、たくさんの思い出があります。
ー「歯科医療ってすごい!」と思った瞬間を教えてください。
私が「歯科医療ってすごい!」と思った瞬間は、病院実習で半年程継続して入れ歯の製作を見学させていただいたときのことです。その方は、以前は入れ歯が合わず、痛くて普通のご飯が食べられないため、食事は全てミキサーにかけて飲んでいたそうです。その後、新しい入れ歯を使うようになってから、「ご飯が食べられるようになって本当に嬉しい!」と喜んでいた姿がとても印象に残っています。ご飯が食べられないことで外に出る気力もなくなってしまっていたと話しており、改めて歯や口の健康が人の生活にどれほど大きな影響を与えるのか実感しました。それと同時に、歯科医療を通して患者さんに喜んでもらえることは本当に嬉しく、私の中で思い入れの深い体験になりました。
ー高校生に「歯学部ってこんなところだよ!」と伝えるなら、どこが一番の魅力だと思いますか?また、歯学部を目指すためにやるべきことがあれば教えてください。
歯学部は、医療系の中でも特に専門性が高く、口の中についての知識だけでなく、治療に必要な技術も身につけられるところが魅力だと思います。講義に加えて実習が多く、実際に手を動かして自分のスキルを高めていけるのが大きな特徴です。また、学生の人数が少ない分、同級生や先輩、後輩との関わりが深いことも魅力の1つです。
歯学部を目指す高校生には、高校で習う生物の内容をしっかり勉強しておくことをおすすめします。生物を選択していなくても、大学で学ぶことになるので、高校生のうちから授業を大切にしておくと役に立つと思います。
ー歯学部を卒業後の将来の夢や目標について、どんな考えがありますか?
卒業後は、患者さん一人ひとりに寄り添える歯科医師を目指したいです。ひとことで歯科治療といっても、入れ歯や被せ物、歯の神経の治療など、内容は多岐にわたります。患者さんの多様なニーズに合わせて最適な治療を行うために、苦手な分野をなくし、自分の選択肢を広げていきたいと考えています。そのためにも、卒業後は大学に残って研修を行い、幅広い経験を積みながら、自分の強みを見つけていきたいと思っています。