ー歯周病などの炎症性疾患の治療に新たな道ー

生化学講座の中南友里招へい研究員、村上智彦准教授らの研究グループは、細胞内ストレスの一種である小胞体ストレスが、炎症を長引かせ、悪化させる仕組みを明らかにしました。
炎症は、細菌やウイルスから体を守り、組織を修復するために必要な反応です。一方で、炎症が過剰になったり長く続いたりすると、歯周病や関節リウマチなどの慢性炎症性疾患につながります。これまで、こうした疾患の患部では小胞体ストレスが高まっていることが知られていましたが、それが炎症をどのように増強・慢性化させるのかは十分に分かっていませんでした。
今回、研究グループは、炎症関連細胞であるマクロファージを用いた遺伝子発現の網羅的解析と、複数の遺伝子改変マウスを用いた解析により、小胞体ストレスが炎症の「アクセル」(IκBζとXBP1s)を強める一方で、炎症の「ブレーキ」(Regnase-1)を弱めることを発見しました。その結果、IL-6などの炎症因子が過剰に増え、炎症が止まりにくくなることが分かりました。
本研究成果により、炎症反応全体を抑え込むのではなく、増悪・慢性化した炎症応答を選択的に抑える新しい治療法の開発につながることが期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「The Journal of Immunology」に、6月27日に公開されました。
タイトル:“ER stress amplifies inflammation via a dual mechanism involving IκBζ–XBP1s synergism and Regnase-1 degradation”
著者名:Yuri Nakaminami, Lerdluck Ruengsinpinya, Riko Sakihara, Yoshifumi Takahata, Kenji Hata, Takao Iwawaki, Riko Nishimura, Tomohiko Murakami
DOI:https://doi.org/10.1093/jimmun/vkag151