ー炎症を抑えながら歯の神経の働きを促す新材料ー

先端機能性材料学共同研究講座の堺 裕彦助教、佐々木淳一准教授、今里 聡教授らの研究グループは、歯髄を守る治療に用いられる材料として、リチウムイオンとストロンチウムイオンを段階的に放出する新しいガラス粒子を開発しました。
むし歯が深く進行して歯の内部にある歯髄まで到達すると、歯髄に炎症が起こってしまい、多くの場合、このような状態になった歯髄を外科的に除去する処置が行われます。
今回、研究グループが開発したガラス粒子は、まずリチウムイオンを速やかに放出して歯髄の炎症を抑え、 その後、ストロンチウムイオンをゆっくりと放出することで、歯髄の上に修復象牙質を積極的に形成させるように設計されています。このガラスを用いることで、細胞実験では、炎症を起こした歯髄の細胞の機能が回復し、ラットの歯を用いた実験では、ガラスが歯髄の炎症を抑え、修復象牙質の形成を促進しました。このガラスを応用することにより、炎症が生じた歯髄を取らずに守る新しい歯科材料の実現が期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Dental Materials」の2026年5月号に掲載されました。
タイトル:“Synthesis and characterization of lithium- and strontium-releasing smart bioactive glasses for direct capping application”
著者名: Hirohiko Sakai, Jun-Ichi Sasaki, Haruaki Kitagawa, Naoya Funayama, Toshihiro Inubushi, Kiichi Moriyama, Koki Nakatani, Yusuke Takahashi and Satoshi Imazato
DOI:https://doi.org/10.1016/j.dental.2026.01.005