【卒業年】
2006年
【インタビュー年】
2025年
【現在の所属・職名】
大学院歯学研究科口腔科学専攻
歯科保存学講座
助教
ー歯学部を選んだ理由について教えてください。
ぼんやりと何か資格を持ちたいなと考えながら中学高校時代を過ごしていました。子供の頃は体が弱く、いろんな薬を使っていたことからまず薬剤師に興味を持ち、現役時代は薬学部を受験しましたが浪人してしまいました。改めて自分の周りにある職業について考え直してみたところ、小児歯科や矯正治療に通っていた時に先生たちが楽しそうに仕事をしていたのを思い出し、歯科医師というのも素敵な仕事なのではないかと考えるようになり、歯学部を選びました。歯だけで(と当時は軽く考えていました)6年間も何を学ぶのだろう・・と興味を持った部分もあったと思います。
ー当時の大学での学びについて教えてください。
今考えると当たり前ではありますが、歯学部だから歯についてだけを学ぶわけではありませんでした。一般教養時代には総合大学ならではの広い選択肢から履修する科目を選べたので、社会学の講義を受けて面白かった記憶があります。2年生の後半に吹田キャンパスに移り、基礎科目の実習が始まり、解剖学の実習が始まった時には「すごいところに来てしまった」と思いましたが、ご献体を前にすると皆が自然と目の前の課題に集中するようになり、真摯に全力で取り組みました。5年生では臨床実習に上がる前に試験があるのですが、その試験の前後で「ああ本当に歯医者になるのだな」と実感が湧いた記憶があります。臨床実習では慣れない臨床の場に戸惑うことも多くありましたが、たくさんの同級生に助けてもらいながらなんとか乗り越えることができ、実習の最終日に皆で実習終了のお祝いをしたのが良い思い出です。
歯学部の学生生活では、それぞれの学生が自身で個別学習をすることも大切ですが、学年が上がっていくにつれ、グループで課題に取り組むことも多く、人と協力することの大切さや、人との接し方について学んだように思います。
また、4年生までは全学(※)のラクロス部(当時はサークル)に所属していました。同期が15人おり、歯学部は私ひとりだったため、他分野の友人に恵まれたことは今でも自分にとっての財産になっています。
(※全学部生を対象とした大阪大学公認課外活動団体のクラブ・サークル)
ー現在のお仕事について教えてください。
現在は歯学部附属病院の中の保存科という診療科で『歯を抜くことなく保存すること』を目指して、主にむし歯の治療と、歯の根の治療(根管治療)を行っています。患者さんの多くは歯の痛みに困って歯科医院を受診しますが、その多くはむし歯や歯ぐきが腫れていることが原因です。痛みに苦しむ患者さんを治療し、治すことができたときには、喜びを感じます。
また、いつまでも健康な歯を維持するお手伝いができることにも大きなやりがいを感じています。ほかにも、むし歯や歯周病をひきおこす原因となる口の中の細菌の集団である「バイオフィルム」について、うまくコントロールする方法がないか研究しています。
最近では、歯科医師を目指す学生の臨床実習の指導や、歯科医師になりたての研修医の指導、また博士号を取ろうとする大学院生の指導もするようになり、新しいことに挑戦する若い人々にたくさんのパワーをもらっています。

ー高校生にメッセージをお願いします!
元々は違う職業に就きたいと考えていた私ですが、最終的に歯科医師になるという選択をしたことは間違っていなかったと今では胸を張って言えます。歯学部って歯だけ?と思われるかもしれませんが、学ぶ内容は意外に幅広く、多くの知識を得ることができます。また、食べることや話すことは生きていく上で必須であり、その機能を守る手助けができる歯科医師はやりがいのある職業だと思います。そんな歯について学び、歯を守るための診療や研究に挑戦してみるのはいかがでしょうか?