
明間すずなさん
【卒業年】
2020年
【現在の所属】
大阪大学大学院歯学研究科
有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座
大学院生医員
※2023年に実施したインタビューを掲載しています。
明間先生が歯学分野の研究に進まれる動機はどのようなものだったのでしょうか?
歯学分野の研究に進もうと思ったのは、大学院に進学することで、理論的思考力や、自分の考えを相手に分かりやすく伝えるスキルを身につけたいと思ったからです。大学院では、文献を読んで議論を深めたり、研究成果を国内外の学会で発表する機会が多いです。歯科治療では、患者さんとのコミニュケーションが非常に重要であるため、患者さんの口の問題点を分析し、分かりやすく伝えるスキルを磨くことは、この後の歯科医師人生で大きく役立つと考えています。

現在はどのようなお仕事をされていますか。
現在、日中は歯科医師として患者さんの診療をしつつ、夜は大学院生として研究を行っています。大阪大学歯学部附属病院には複数の診療科があり、その中でも補綴科(入れ歯や被せもの、インプラントを専門とする科)で働いています。 診療が終わった後に研究のデータをまとめたり分析を行ったりしています。
現在の研究内容についても、わかりやすく教えてください。
健康に長生きする方にはどのような特徴があるのか、口の機能は健康に長生きすることに関与しているのかについて研究を行っています。「加齢」による変化を明らかにするためには、長期にわたってその人を追跡する必要があります。そこで、私たちの講座では、高齢者のコホート研究(特定の人々の集団を長期間にわたって追跡することによって、病気の発症や健康に影響を与える要因を調べる方法)を行っております。コホート研究は、医学、歯学、看護学、栄養学、心理学、社会学の研究者が共同で行っており、さまざまな学問分野の研究者が協力することで、人の老化や健康長寿の要因という非常に複雑な問題の理解が進むと考えています。
実際にこのコホート研究において、咬む力などの口腔の機能が低下すると、握力が低下したり、認知機能が低下することが明らかとなっています。認知機能などの測定は、専門家の協力が必要であり、歯学以外の分野の専門家と一緒に研究できることは、大阪大学の総合大学ならではの強みではないかと思います。
今後の未来ではどのような新しい歯学分野の研究が期待されると思いますか?
今、世の中では、急速な勢いで、社会のデジタル化が進んでいます。このデジタル化の波は、歯科にも押し寄せており、歯科治療の方法は、以前と全く違ったものになりつつあります。これまでは、歯型を印象材(粘土のような材料)でとった後、石膏を流し込んで、模型を作って、それを元に様々な補綴装置(被せ物や入れ歯)を作っていました。デジタルデンティストリーでは、口腔内をスキャナーで撮影してパソコンの画面上で歯の状態を確認したり、パソコン上で補綴装置を設計し、3Dプリンタで設計したものをプリントすることができます。 このような、デジタルデンティトリーに関する研究が今後盛んになってくると考えています。
歯学部を目指す高校生・受験生のみなさんへエールをお願いします。
大阪大学歯学部は、研究面と臨床面どちらも充実しており、質の高い医療を実現し、社会に貢献するための研鑽を積むことができます。歯学部で、皆様にお会いできるのを、お待ちしています!