なぜ歯学分野へ進もうと思われたのですか。
父、母ともに歯科医師ということもあり、歯医者さんは幼いころからとても身近な職業でした。自分の歯も両親に診てもらう機会が何度かあり、歯科医師として働く両親の姿に自然と憧れを抱くようになっていました。歯科は臨床の分野でも、外科・矯正・予防など専門分野が多くあります。その上、研究の分野も広くあり、歯学部に入学してからも将来の選択肢がとても広いと思い、歯学部に入学しました。
いま歯学部で学んでいて最も興味がある、面白いと思った研究はどのようなものですか?
予防歯科学の分野で行われている研究について興味があります。予防歯科とは虫歯や歯周病といった口の病気の予防を主な目的としています。「削って詰める」ことが一般的だった昔の歯科治療と異なり、そもそも病気にならない方法を探すという観点がおもしろいなと感じました。
希少糖を広めるためにキャラメルの開発を始めたとのことをお伺いしております。
そのきっかけは何だったのですか。また、このキャラメルについて教えてください。
キシリトールなどは虫歯の原因にならない糖として一般に広く知られています。講義で虫歯の原因になりにくい糖について学んで興味をもち、キシリトール以外の糖ではどうなのかと調べて見つけたのが希少糖の一種であるアルロースという糖でした。アルロースには虫歯になりにくいという特性だけでなく、0kcalであることや血糖値の上昇を抑えるなどの特性があります。しかし一般の認知度はほかの甘味料に比べてとても低く、この非常に稀な特性をもった糖をもっと知ってほしいという思いで、キャラメルの開発を始めました。アルロースは乳製品と反応してメイラード反応をおこすので、キャラメルを作成することができます。キシリトールではこの反応は起きないので、アルロースの特性を生かすことで、新規性をもった商品を作ることができるのではと考えました。そこから本当に多くの方々にご協力をいただき、「歯にも体にもやさしいキャラメル『アルメル』」を商品化することができました。大切な人と安心して食べていただけるような、健康に気遣ったキャラメルです。
先日はクラウドファンディングに挑戦し、無事に目標金額の支援を受けることができました。
今後は、実際に販売をしていき、より多くの方々に食べていただくことが目標です。
この活動によって、一般の方々が虫歯や歯に少しでも興味を持っていただければと思っています。歯科医院さんからも販売のお声がけを頂いており、さらに今後はネット販売等も行っていけたらと思っています。
(クラウドファンディングサイト https://www.makuake.com/project/caramel/ )
キャラメル開発と学業の両立は大変だと思いますが、時間はどのように調整しているのですか。
大学生なので学業以外にも、クラブやアルバイトもしています。その上、歯学部では多く学ぶことがあるので両立することは大変ですが、キャラメルの開発は歯学の自分の興味のある分野と重なっているので、学部の勉強の延長線のような感覚で取り組むことができています。時間は限られた中ですが、大学生の時にしかできないことを、欲張ってやっています。
将来は、どのような進路を考えていますか。
現在4回生で実習が本格的に始まり、6回生では病院実習もあります。専門分野に進んでその道のプロを目指すのか、それともオールマイティーに何でもできる歯科医師を目指すのかなど、多くの先輩の意見を聞きながらしっかりと考えていきたいです。
受験の時はどのような勉強方法でしたか? また、歯学部を目指す受験生にアドバイスがあればお願いします。
僕は中学高校とほとんど部活漬けの毎日だったので、帰宅後の限られた時間のなかで勉強していました。その中で効率を意識して勉強するために、1科目は1時間程度と決めてまんべんなく勉強していました。長く机に座っただけで、勉強した気になりがちだと思います。僕もそうでした(笑)。勉強する量だけでなく、質も意識して取り組んでみてください!受験生の皆さんはいろいろ大変だと思いますが、入学後はとても楽しい学校生活が待っているので頑張ってください!