大阪大学大学院歯学研究科は、歯科医学の発展に寄与する指導的人材を育成することを目的として、昭和35年(1960年)に設置されました。そして超高齢社会に伴う、歯科医療に対する社会のニーズの多様化と、歯科および生命科学領域の劇的な高度化に対応し、新たな教育・研究を推進するために、平成12年(2000年)から、「大学院重点化」組織として活動しています。
革新的・先駆的歯科医学研究の推進
大阪大学大学院歯学研究科は、歯科医学研究を国際的にリードする使命を担っていると自負しています。その期待に応えるために、最先端の生命科学研究とバイオマテリアル研究を基盤として、革新的・先駆的歯科医学研究を展開しています。特に、最新のゲノム編集技術、バイオインフォマティクス、AI、マテリアルインフォマティクスを積極的に取り入れて歯科医学研究を推進し、次世代の歯科医学を担う若手研究者の育成にも注力しています。
再生歯科医学の牽引と再生歯科医療の実現
旧来の歯科医療は、歯を“削る”、“抜く”、すなわち取り除く治療が主体でした。その大きな理由として、永らく歯や歯周組織を再生することが極めて困難とされていました。大阪大学大学院歯学研究科は、サイトカインFGF2を用いた、世界初の歯周組織再生療法の開発に成功しています。さらに、脂肪組織由来の間葉系細胞を用いた歯周組織の新規再生治療の開発にも取り組んでいます。再生歯科医学と再生歯科医療の拠点として、大阪大学歯学部附属病院と連携し、世界の再生歯科領域をリードしています。
イノベーティブ・デンティストリーの加速化
大阪大学大学院歯学研究科は、産学共創、社学共創、国際的リーダー育成ならびに国際ネットワークの強化を推進するために、ID(Innovative Dentistry)戦略室を設置しています。歯科医学研究の成果を、効率的に社会実装に繋げるために、イノベーティブ・デンティストリーを加速化させています。創薬、革新的歯科バイオマテリアル開発、歯科医療DXの実現とこれらを推進する人材育成を進めています。
歯学研究科長 西村 理行