最終更新日:2025年4月25日
講座からのメッセージ
歯科の二大疾患である「う蝕」と「歯周病」は、共に細菌感染症です。すなわち、歯学領域において、細菌学研究は重要な課題となっています。近年、社会的な問題となっている新型インフルエンザ、麻疹(はしか)、毎シーズンの流行に見舞われる咽頭炎、および、細菌性肺炎も口腔を侵入門戸のひとつとする微生物感染症です。
微生物学講座では、歯科領域に捕われることなく、口腔細菌と口腔から身体に侵入する病原性レンサ球菌について、病態発症メカニズムの解析を行い、新規治療法や予防法の基盤となる研究を進めています。
スタッフ
職 名 | 氏 名 | E-mail(@以下はosaka-u.ac.jp) |
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教 授 | 川端 重忠 | kawabata.shigetada.dent@ |
准教授 | 広瀬 雄二郎 | hirose.yujiro.dent@ |
助 教 | 大野 誠之 | ono.masayuki.dent@ |
助 教 | 池田 恵莉 | ikeda.eri.dent@ |
研究の概要
A群レンサ球菌の研究
【劇症型A群レンサ球菌感染症】
A群レンサ球菌は、時として「劇症化」あるいは「侵襲性」と呼ばれる重篤な疾患を引き起こすことがあります。発症時の死亡率は30%にも達し、国内外の研究グループにより、精力的な原因究明が進められています。私たちの研究室でも、身体に細菌が侵入するメカニズムを分子レベルで解明してきました。現在は、組織に侵入した細菌が、ヒトの免疫系を回避する機構について研究を行い、新規の病原因子の同定を進めています。
肺炎球菌の研究
わが国の肺炎による年間死亡者数は、8~10万人にも上ります。しかしながら、肺炎の重症化機構については、不明な点が多く残されています。肺炎レンサ球菌 (Streptococcus pneumoniae) は、肺炎の原因菌であり、小児の中耳炎においても高頻度に分離されます。肺炎レンサ球菌は、抗生物質に対する耐性化が進んでおり、抗生物質に代わる新規治療方法、もしくは予防法の確立が重要であると考えられます。そこで、感染制御に繋げることを目的として、感染成立に関与する病原因子の同定と機能解析を進めています。さらに、これらの研究から得られた知見をもとに、ワクチン抗原の探索も行っています。これまでに我々は、上皮細胞への定着や、末梢血中での抗貪食能に関わる新規の病原因子を報告しています。