
昭和医科大学歯学部口腔生化学講座 教授
2022年3月に岩垂育英会賞を賜り、心より感謝申し上げます。本稿を執筆するにあたり、当時の申請書を改めて見返し、4度目のチャレンジで受賞に至ったことを思い出しました。何度も審査くださった先生方に改めて深く御礼申し上げます。
今回「次世代へのメッセージを」というご依頼を頂きましたので、本賞への応募を考えている若手研究者の皆様に向けて筆を執ります。本賞は歯科基礎医学領域における登竜門であり、審査も厳しいものですが、審査員の先生方に名前を覚えて頂くだけでも大きな価値があります。ぜひ、臆せずチャレンジしてみてください。私は、賞への応募も勉強だと思っています。研究費の申請書とは異なり、自分の研究の軌跡や将来展望を俯瞰的に見つめ直す絶好の機会です。単一の論文にとどまらず、一連の研究全体から何が導かれ、今後どのように発展させたいのか。なぜ自分がその研究を進めなければならないのか。誰もが似たような書類を生成できるAI全盛の時代だからこそ、自分の言葉で研究者としての個性を表現して欲しいと思っています。
私にとって、2022年3月に受賞講演の機会を頂けたことは、本当に幸運でした。講演の中で口腔がん骨浸潤に関する未発表データを紹介したところ、ある審査委員の先生から重要なコメントを頂き、それが2024年10月にNature誌に掲載された私の論文の大きな転機となりました。研究は、ラボや所属大学という枠を超えて、コミュニティの中から生み出されるものだと感じています。これからの歯科基礎医学を共に盛り上げていける仲間が、本賞から次々と輩出されていくことを心より願っております。

