【卒業年】
2014年
【インタビュー年】
2025年
【現在の所属・職名】
大学院歯学研究科口腔科学専攻
有床義歯補綴学・高齢者歯科学講座
助教
ー歯学部を志したきっかけは何でしたか?
親が歯科医師だったこともあり、幼い頃から歯科は身近な存在でした。また、高校生のときに「歯の再生医療」に関するニュースを目にして、「再生治療ってなんだかかっこいいな」と感じたのが、歯学部を目指すきっかけになりました。
ー他の医療系、理系学部との違いや魅力をどのように感じていましたか?
正直なところ、進路を決めた当時は深く考えていたわけではありませんが、歯科は医学的な知識に加えて、手先の技術や細やかな作業が求められる分野です。例えば、患者さんの痛みの原因を診断したり、少しでも歯を残せるように慎重に虫歯を削ったりします。また、自分の手で被せ物や入れ歯を作ったりすることもあります。知識と技術、さらにはアートの要素までが融合した、ユニークで奥深い魅力を持つ分野だと感じています。
ー阪大歯学部での学びについて教えてください。
学生生活の中で、特に印象に残っているのは、自分で作った入れ歯が実際に患者さんの口の中に入ったときの、あの緊張感と高揚感です。5年生の臨床実習では貴重な機会に恵まれ、総入れ歯を作るケースを担当させていただきました。うまく歯を並べられず悩んだこともありましたが、自分の手で作った入れ歯が患者さんの生活の一部として使われるようになったとき、「自分の手で作ったものが誰かの役に立つ」という実感が湧き、大きなやりがいを感じました。歯や骨の再生に興味を持って歯学部に入った私にとって、”機能の再生”という新たな視点に気づいた瞬間でもありました。
阪大歯学部での学びは、知識を得るだけでなく、実際に手を動かして習得することも多く、自然と「自分の頭で考え、自分の手で形にする力」が養われたと感じています。授業や実習を通じて、理論と実践の両面から学べたことは、大きな財産です。
また、阪大歯学部に入って良かったと感じることは、臨床実習をはじめ、さまざまなことにチャレンジできる環境が整っていたことです。キャンパスも広く、部活動も自由でのびのびと取り組むことができ、学業だけでなく人間的にも成長できた学生生活だったと思います。
ー課外活動など、歯学部以外の経験で印象的だったことはありますか?
課外活動では歯学部テニス部に所属し、学年を超えたつながりができました。同期はもちろん、先輩や後輩とも深い関係を築くことができ、卒業して10年以上経った今でも連絡を取り合う仲間がいるのは、何よりの宝物です。
ー現在のお仕事について教えてください。
大阪大学歯学部附属病院の「補綴(ほてつ)科」という診療科で、歯を失った方に入れ歯や被せ物を作る仕事をしています。食べたり話したりするために大切な「口の機能」を取り戻す治療です。また、歯科医師を目指す学生たちの教育や、口の健康と全身の健康がどのようにつながっているのかという研究にも取り組んでいます。診療・教育・研究の3つをバランスよく行うのが、大学病院で働く歯科医師の特徴です。
「噛めるようになった」、「人前で笑えるようになった」など、患者さんからの言葉を聞いたとき、この仕事をしていて本当に良かったと感じます。口の中の小さな変化が、生活の質(QOL)を大きく変えることがあるんです。また、学生や若い歯科医師が成長していく姿を間近で見られるのも、教育の現場ならではのやりがいです。


ー仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
「今、自分にしかできないことは何か?」を常に意識したいと考えています。診療も研究も家族との時間も、限られた時間の中でどう過ごすかが大切です。仕事とプライベート、どちらも大事にできる働き方を目指しています。
ー今後の目標を教えてください。
これまで支えてくれた家族や職場の方々に、少しでも恩返しできるように、日々の診療や研究にしっかり取り組んでいきたいです。そして、これから歯科医師を目指す若い人たちにとって、「こういう生き方もあるんだ」と思ってもらえるような、ロールモデルの一人になれたらうれしいです。

ーご自身が高校生だった頃に感じていた進路選択の悩みや、それを解決した方法を教えてください。
正直なところ、進路を決めた当時はあまり深く考えていませんでした。ただ、人と話すのが得意ではなかったので、歯科医師という“人と接する仕事”に向いているのか不安もありました。でも、実際に現場に出てみると、患者さんとの信頼関係は少しずつ築いていけるし、技術で貢献できる部分も大きいと感じています。今はこの道を選んで良かったと思っています。
ー高校生にメッセージをお願いします!
阪大歯学部の魅力は、臨床・研究・教育のすべてにチャレンジできる環境が整っていることです。一流の先生方や熱意ある仲間たちに囲まれて、自分のペースでじっくり学ぶことができます。夢を広げ、実現に向けて挑戦できる場所だと思います。少しでも興味があるなら、ぜひ一歩踏み出してみてください。きっと、未来が大きく開けていくと思います。