
岡山大学学術研究院医歯薬学域の小野早和子助教・山元英崇教授、東京科学大学大学院医歯学総合研究科の布川裕規助教・石丸直澄教授、大学院歯学研究科の廣瀬勝俊助教・豊澤悟教授らの共同研究グループは、口の中に発生する扁平上皮癌の特殊亜型である「孔道癌」の遺伝子プロファイルを世界で初めて明らかにしました。また、その遺伝子異常が、低い増殖活性などのがん細胞の特徴へとつながっている可能性を見出しました。
孔道癌は、「正常の上皮細胞」と似たおとなしい見た目(顕微鏡像)であり、「がん」と診断することが非常に難しい病気です。病気の見逃しや間違った診断が起こることが多く、診断の遅れは病気の拡大や死亡率の増加などの患者さんの不利益へと繋がっていきます。一方で、孔道癌は発生頻度が非常に低いため、症例の集積が難しく、これまで孔道癌の分子病理学的特徴についてはほとんどわかっていませんでした。
今回、研究グループは、口の中にできた扁平上皮癌2,002例の中から、孔道癌症例を集めました。そして、次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析技術により、孔道癌の87.5%で病的な遺伝子異常を同定しました。また、一般的な扁平上皮癌とは異なる特徴的な遺伝子プロファイルを持っていることを明らかとしました。さらに、遺伝子異常と関連して、孔道癌ではがん細胞の増殖活性が低いという特徴を明らかにしました。
本研究成果は、2026年5月25日(月)(日本時間)に北米頭頸部病理学会公式科学誌「Head and Neck Pathology」(オンライン)に掲載されました。
タイトル:“Genetic Landscape of Oral Carcinoma Cuniculatum and Its Histological Mimics”
著者名:Sawako Ono, Yuki Fukawa, Katsutoshi Hirose, Yumiko Hori, Daisuke Motooka, Hiroyuki Harada, Eiichi Morii, Satoru Toyosawa, Naozumi Ishimaru and Hidetaka Yamamoto.
DOI:https://doi.org/10.1007/s12105-026-01921-3