ゲノム編集技術開発ユニット:研究支援のご案内
「設計図(ゲノム)」を書き換え、生命現象の真理へ
CRISPR/Cas9をはじめとするゲノム編集技術は、今やライフサイエンス、医療、創薬のあり方を根本から変えようとしています。当ユニットでは、単なるマウスの作製にとどまらず、「研究者のインスピレーションを、高精度な個体モデルへと最短距離で昇華させること」を使命としています。
1. 構想から解析まで:End-to-Endの高度コンサルティング
特定の疾患モデルや、変異の導入、精密な遺伝子スイッチの導入など、作製者が望む「自由な設計」を現実のものとします。
・トータルサポート:標的gRNAの最適設計から、最新のゲノム編集手法の選定、効率的な遺伝子型判定(Genotyping)の条件検討まで、一貫して支援します。
・実績の裏打ち:当ユニット独自の技術を用いた研究成果が、学術雑誌に次々と掲載され、Altmetric 132(全論文の上位1%以内)を記録するなど、世界トップレベルの技術力を証明しています。
2. 生殖工学技術による「研究リソース」の守護と再生
オープンサイエンスの推進と、不測の事態への備えは、現代の研究室運営において必須の「戦略」です。
・バックアップ:凍結精子、凍結胚の作製と安定保存により、貴重なリソースを守ります。
・個体化技術:体外受精(IVF)や胚移植技術を駆使し、必要な時に迅速に個体へと復元する、高度な生殖工学支援を提供します。
3. 技術の普及と次世代の育成
ゲノム編集を「一部の専門家の技術」から、あらゆる研究者の「自在な武器」へ。
・実践的セミナー:最新トレンドの解説から、現場で即戦力となる実技講習まで、定期的に開催予定です。
・クリエイティブな研究相談:「こんなマウスは作れるだろうか?」という初期段階のアイデアも歓迎します。まずは当ユニットへ、お気軽にご相談ください。
スタッフ
| 職名 | 氏名 | E-mail(@以下はdent.osaka-u.ac.jp) |
|---|---|---|
| 准教授 | 高畑 佳史 | takahata.yoshifumi.dent@ |
| 技術補佐員 | 垣内 美穂 | kakiuchi-mi@office.osaka-u.ac.jp |

遺伝子改変マウスの作製依頼は、上記リンクの添付ファイルを熟読の上、受託申請書をユニット長まで提出をお願いします。その他、相談があれば直接メールでご連絡下さい。
研究の概要
ゲノムの「時間」をプログラミングする
当ユニットでは、ゲノム上の特定の領域に外部からアクセス可能な「時間的スイッチ」を自在に配置する革新的技術を核とし、さまざまな疾患の根本的解決に向けた「クロノ・ジェネティクス」を展開しています。クロノ・ジェネティクスとは、ゲノムを「静的な設計図」としてではなく、時間と共に刻々と変化する「動的なプログラム」として捉え直します。ゲノム編集により、特定の遺伝子発現を「いつ、どのタイミングで」オンオフするかを外部から制御する、生命操作の新しいパラダイムです。

1. 遺伝子スイッチの遠隔操作によるプレシジョン・メディシン
ゲノム編集によって挿入した「特定の配列」に対し、特異的に応答する小分子化合物を用いて遺伝子発現をコントロールする、究極の精密医療を追求しています。
戦略的介入:標的となる転写因子やシグナル(NF-κB)を、狙った組織で、狙った時間に、デジタルに制御する革新的な「遺伝子スイッチ操作システム」の構築を目指しています。これにより、全身への副作用を抑えつつ、病態を劇的に改善させる次世代の治療戦略を実現します。
2. 概日リズムによる運動器疾患の病態解明と時限式創薬
健康寿命の延伸において、関節や骨などの運動器の機能維持は最重要課題です。私たちは、体内時計が運動器の恒常性に果たす役割を、独自の分子生物学的手法で解明しています。
・Time Mosaicマウスの創出:当ユニットが発見した新規化合物Mic-628は、特定の時計遺伝子を時間依存性なく前進させる画期的なツールです (Takahata et al. PNAS, 2026)。このツールを応用し、変形性関節症や(OA)や関節リウマチ等の難治性疾患に対し、生体リズムに即して最も効果的なタイミングで介入する「時限式創薬」の確立を目指します。
3. オルガン・ネットワーク:運動バイオーマーカーと全身臓器連関
運動器は全身の健康を司る「司令塔」の一つです。関節や骨が発信する微弱なシグナルを捉え、全身の老化や疾患を制御するメカニズムを明らかにします。
・システム生物学的な視点:運動器官の位相と全身臓器の同期・乖離が健康に与える影響を解析します。未病状態を検知する新たなバイオマーカーを同定し、個体レベルでの健康維持戦略を構築します。
4. ゲノム編集による「独創的研究リソース」の創出と開発
「世界で自分しか持っていない武器で戦う」これが当ユニットの根幹です。既存のマウスを利用するのではなく、CRISPR/Cas9を用いた迅速な個体作製や、dCas9を応用したエピジェネティック制御技術を独自に開発しています。自ら創り出したマウスや細胞株を起点に、他者の追随を許さないオリジナリティの高いサイエンスを具現化します。
News
2026/1/23
Period1を特異的に誘導する化合物Mic-628を同定し、生化学的検証、行動解析および数理解析を組み合わせた多角的なアプローチにより、本化合物が投与時刻に依存することなく体内時計を安定的かつ強力に前進させることを解明しました。本成果は、従来の「位相反応曲線(PRC)」の制約を超えた新しい時間操作法の提案であり、時差ぼけや交代制勤務に伴う健康障害の克服に向けた画期的な一歩となります。本研究内容は、米国科学アカデミー紀要 『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)』に掲載されました。
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2509943123
プレスリリース全文はこちら(大阪大学研究専用ポータルサイト)
2025/11/28
高畑 佳史が大阪大学経営企画オフィス「キラリと光る研究者 vo.l20」記事に掲載されました。
2025/7/25
高畑 佳史が「ゲノム編集技術を活用した骨・軟骨代謝研究」で2025年度日本骨代謝学会「研究奨励賞」を受賞しました。
2025/1/1
垣内 美穂さん(技術補佐員)が当ユニットに参画しました。