教室からのメッセージ

口や口の周辺の器官は、食べたり、呼吸したり、話したりすることに使われています。この様々な働きを支える仕組みの一つとして「神経系」というものがあります。神経系は末梢神経系と中枢神経系(脳)とで成り立っており、触覚や味覚を知覚したり、筋肉に指令を出して運動の制御を行なっています。食べ物の味や、香り、歯応えなどが一体となって感じられること。食べ物と空気が間違わずにそれぞれ食道と気道へ進むよう交通整理されていること。舌を噛まずにお話ができること。これらの機能は神経系が正しく働いているからこそ実現しているのです。
我々の研究室では、口腔顔面領域における「感覚情報処理」と「運動制御」そして「感覚と運動との統合」を実現する神経メカニズムについて調べています。研究方法としては、神経回路の構造を明らかにすることを中心として、神経活動の解析や遺伝子発現の検証も組み合わせ、多面的なアプローチを行なっています。我々は、口腔顔面領域における神経メカニズムの理解をめざして、研究結果を積み重ねております。さらに、こうした研究成果は口や口周辺の病気や怪我などによる機能障害に対する予防や治療法の開発に貢献し、高齢化社会におけるQOL向上につながることが期待されます。


スタッフ

職名氏名E-mail(@以下はosaka-u.ac.jp)
教授古田 貴寛furuta.takahiro.dent@
講師佐藤 文彦satou.fumihiko.dent@
助教孫 在隣sohn.jaerin.dent@

研究の概要

1.口腔顔面領域の触知覚・運動に関わる神経回路構造

私たちの研究室では、口腔顔面領域の感覚や運動に必要な脳の構造・機能について研究を行なっています。我々の脳には多数の神経細胞が存在し、それらが互いに複雑に結合して神経回路網を形成しており、脳機能解明が難しい理由の一つになっています。私たちはげっ歯類を用いた実験により、感覚・運動情報処理を担っている一つ一つの神経細胞の電気的活動を記録しつつ、その細胞を取り巻く「神経回路地図」の解明を目指しています。詳細はこちら

2.咀嚼筋筋紡錘(深部)感覚経路

食べることは、生命維持の根幹です。また、高齢化社会にけるQOLの観点から、いつまでも美味しく食べられることが求められています。美味しく食べるためには、口腔内や口腔周囲に生じる感覚情報が脳内へ正しく伝達され、その情報を基に、脳が口腔周囲の筋に運動命令を正しく伝達する神経機構が必要です。我々は、これらの感覚と運動の発現に関っている脳内の神経機構の解明をめざしています。詳細はこちら

咀嚼筋収縮に関わる三叉神経ニューロンの3次元画像
大脳皮質微細構造の電子顕微鏡画像3次元データ

業績一覧

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