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研究活動紹介
① 顎骨骨髄由来間葉系間質細胞を用いた骨再生研究
広範囲顎骨萎縮症に対しては自家骨移植が標準治療であるが、高侵襲であるため新規治療法の開発が求められている。これまでに、間葉系間質細胞(MSC)と骨補填材を用いた多層細胞シート包埋型骨再生剤を開発し(PCT/JP2024/022387)、動物モデルにおいて垂直的骨増生を実証した。一方、臨床応用に向けては、細胞製造、製剤化、治療効果を定量的に評価する体系や用法・用量設計、さらに効果予測指標の整備が不可欠である。本研究では、無血清培養による細胞製造から骨再生剤化、治療効果評価までを統合し、再現性と安全性を備えた顎骨再生医療の実用化基盤の構築を目指す。


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② 再生プライミングMSCの免疫調整能獲得メカニズムの解明と臨床的有用性評価
顎骨再生医療の普及には他家移植が不可欠であるが、免疫原性が大きな障壁となっており、非遺伝子改変による新たな免疫回避戦略が求められている。そこで本研究では、骨再生という組織修復経験がMSCに免疫調整機能の持続的な“記憶”を付与するという新概念に基づき、その実態と分子機構の解明を目的とする。本研究では、骨再生を経験したMSC(trained MSC: tMSC)に着目し、その免疫調整能の変化と持続性を評価するとともに、エピジェネティクスおよび転写制御の観点から分子機構を包括的に解析する。さらに、in vivoでの機能検証を通じて「再生記憶」の有用性を実証し、高機能MSC製剤の創出と再生医療の再現性向上を目指す。

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③ 咀嚼系における骨-筋相互作用による顎骨恒常性維持機構の探索
咀嚼による顎骨リモデリングにはメカニカルストレスが重要とされてきたが、近年は筋肉由来分泌因子(マイオカイン)を介した骨‐筋の生化学的相互作用の重要性が注目されている。特に顎顔面領域は他部位と特性が異なるため、咀嚼系特有のメカニズム解明が必要である。本研究では、咀嚼運動により咀嚼筋から分泌されるマイオカインが顎骨リモデリングに与える影響を細胞・分子レベルで解析する。これにより、顎骨リモデリング機構の解明とともに、咀嚼運動が全身疾患へ及ぼす影響の理解にも貢献することを目指す。

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④ オッセオインテグレーション障害をもたらすSNPの網羅的解析とその機能解析
オッセオインテグレーション(OI)不良によるインプラント喪失には多様な因子が関与するが、近年は遺伝的要因の関与が注目されている。しかし、具体的な関連遺伝子は十分に解明されていない。本研究では、OIに関連する単一塩基多型(SNP)の網羅的解析を行い、同定された遺伝子変異の機能を生体および細胞・分子レベルで検証する。これにより、OI不良に関与する遺伝的要因を明らかにし、患者ごとのリスク評価に基づく高精度なインプラント治療の実現を目指す。

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⑤AI駆動型大規模MRIデータベースによる顎関節疾患の遺伝学的・分子生物学的病態解明
当研究室では,3,500名を超える国内最大規模の顎関節MRIデータベースを基盤とし,顎関節の病態生理を明らかにしてきた.また,臨床検体から得られたゲノムデータの解析により,変形性顎関節症に関連する候補遺伝子の同定にも成功しており,現在はゲノム編集技術を駆使し,同定された候補遺伝子が病態形成に及ぼす影響を分子生物学的に検証している.さらに,大規模MRIデータを学習ソースとし,顎関節疾患の高精度な自動診断を可能にするAIモデルを開発中であり,AIが抽出する画像特徴量と,複雑な臨床症状を統合的に解析することで,個々の患者に最適化された新規リスク予測法および次世代の治療指針の確立を目指す.

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⑥咀嚼筋痛障害における性ホルモンの関与に関する研究
咀嚼筋痛障害は顎関節症の主要な症状の1つであり、多因子疾患である。その因子の一つとして性ホルモンが病態形成に関与している可能性が示唆されている。当研究室では、ホルモン濃度と痛み閾値の関係を臨床的・実験的に解析し、エストロゲン受容体を介した痛覚感受性の変動メカニズムやホルモン動態が咀嚼筋痛の発症・慢性化に与える影響を検討している。これらの知見は、ホルモン療法を含む新たな治療戦略の開発に寄与することが期待される。

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⑦顎口腔領域における結合組織の分子化学的解析と代替材料の開発
歯科インプラント治療や一般歯科治療において、口腔内の結合組織(コラーゲン線維・細胞外マトリックス)は組織の力学的特性や疼痛感受性の制御において重要な役割を担っている。本研究室では、臨床検体および培養細胞を用いて結合組織成分の質的・量的変化や分子プロファイルを解析することや、力学的刺激や炎症性サイトカインが線維芽細胞の挙動に与える影響を検討することで、結合組織リモデリングのメカニズムを解明している。これらの成果を基盤として、結合組織の代替材料の開発を目標に再生医療的アプローチの確立を推進している。

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⑧新規材料に対する的確な接着技法の探究:臨床研究および基礎研究を高いレベルで遂行
国民健康保険のもと広く普及したCAD/CAM(レジン)冠は、導入当初「破折」が懸念されていたが、実際の臨床では「脱離」が主なトラブルであることが明らかとなった。われわれは、その原因を究明するために、臨床研究と基礎研究の両面から取り組んできた。今後は、この日本発のメタルフリー治療を、オールジャパン体制の「臨産官学民」で発展させ、国民の歯を守るとともに、世界に正しく発信していきたい。

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⑨次世代接着評価の確立:象牙質接着強さに与える影響因子の解明
これまで歯科用接着材の性能は,接着試験によって測定される“接着強さ(MPa)”の大小によって評価されてきた.本研究は,数十年にわたり行われてきた「第一世代接着評価法試験」の進化をめざす先進的な思考に基づいて立案されている.その実現のために,「非破壊的観察」を駆使した多面的評価に注目し,
・臨床における接着操作の実際と基礎研究との乖離の明確化
・接着試験体の多種パラメータと接着強さとの関連探索
・接着試験の破断開始部の動的明示
を行う。本研究によって確立する「第二世代接着評価法」によって、歯科用接着材の改良点が浮き彫りとなり、さらに長期的予後を担保する新規接着材の開発に大きく貢献する。

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⑩新規診断装置の開発:非破壊試験による先端的界面観察
定期健診においてう蝕等のトラブルを早期発見するべきであるが、X線検査では補綴装置の内部を把握することは不可能である。その解決のため、非破壊試験装置の中でもより高い精度で物体内部の構造欠陥を検出できる「アコースティックエミッション法」およびデータの解析において時間減弱も考慮する「三次元描出」を活用し、新規診断装置を創出する。将来的には、補綴装置内部の劣化や界面異常をチェアサイドで可視化できる診断法の確立を目指す。

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⑪はずせる接着の具現化:接着歯学のさらなる発展
歯科用接着材の進化は近代歯科治療に大きな影響を与えた一方、再根管治療前や矯正治療後のように装置を除去する際,接着が強固であるために健全歯質に侵襲がおよぶリスクが伴うようになった。この問題解決のため、通常は長期にわたって強固な接着を維持するものの、必要に応じて『はずせる接着』の実現を目指す。現在、材料科学および界面制御技術の進展により、この相反する要求を両立する可能性が見え始めている。『はずせる接着』が具現化されることは、歯質の保存を究極的かつ安全に遂行できるのみならず、はずした装置を再治療に活用できる点でも画期的であり、結果的に医療費削減につながる。
